THE PUSHのこと
2018年1月〜3月までの全4回で、THE PUSHというバンドのみなさんと、ミュージカルに挑戦しました。 メンバーそれぞれの持っている歌をつなぎ合わせ、他者とストーリーを描いていけないか試している、といった方が正確かもしれません。 精神障害を持った方の通う、4つの地域活動支援施設・作業所から集まったメンバーです。
横浜STスポット平成29年度「地域における障害者の文化芸術体験活動支援事業」の報告書。
年度末に発表だったので最後までは載っていませんが、本番までずっと予想をこえてこえてこえてくるザ・プッシュ!
皆さんと話し合っているのが楽しくて仕方ない。ずっと生まれてる。気がつけば心の風通しがよくなっているんだよなぁ。
**** THE PUSHの音楽には「生きるために」というテーマがある。入院の体験や、仲間に伝えたい「生きるを選択しよう」のメッセージは、何度も聞いたことのある言葉のようで、それとは全く違った響きと意味を持って届いてくる。
しかしどこかユーモアも纏っていて、気がつけばみんなで笑いあっているのがTHE PUSHである。
個の世界に耳を傾けてみると、驚きと新鮮さで胸がいっぱいになる。「みんなでやってみよう」をきっかけに、それぞれのリズムがちぐはぐしながら並び立ってうねりを生み出す。
今回はミュージカルという目標を持って、皆さんの持ち歌をもとにひとつの物語を描こうとした。 話し合っているうちに、編み物の得意な方が(高速で)衣装用の帽子をいくつも作ってくださったり、ふと「振り付けを思いついたんです…」とダンスが加わったり、次第に舞台の時間が出現した。勇気を出して歌ってくださった方もいた。
「デンカリタートル」改め「プッシュでフィッシュ」!
本番は仲間(ピア)という感覚の地続きに観客も歓迎されているような時間だった。
今回嬉しかったのは、ピアノを弾いて初めて伝えられたことがたくさんあったと思えたことだ。メンバーの表情が変わる、空気が変わる、多分こんなに素直にすっきりとピアノに向かえたのは、初めてのことなんじゃないだろうか。 彼らが音楽でしている会話に音で関わるとは、何かとても特別な作業に感じられた。とにかくみんなすごい。
時々つっこみを入れながら、いつでも中村さんが笑っている。自由と混沌のTHE PUSHがユニット感を欠かさない秘密はそこにもあるのかもしれない。